犬との関係を「服従」「上下関係」といった言葉で説明するようになって久しい。しかしその一方で、犬との関係は飼育動物からペット、今や「家族」へと確実と変化を遂げている。この変化の中で、私たちは犬との関係をどうとらえればいいのか。新しい犬との関係を探ってみた。
1. ~6か月
2. ~1歳
3. ~2歳
4. 2歳~
あなたは”犬と一緒の生活”と聞いてどんな光景を思い浮かべるでしょうか?
飼い主の傍らに寄り添うようにしてお散歩をする姿、飼い主の目を見上げる撫﨟A玄関でご主人の帰りを待つ一途さ・・・。きっとそこにはあなたのことを唯一の”ご主人”だと信じて疑わない純粋な気持ちがあるはずです。犬の心をとらえ、犬と良い関係を築くにはどうすればいいのでしょうか?
”あなたが犬にとって良きリーダーになること”これが答えです。
犬とうまくやっていくためにはリーダーにならなくてはいけないと聞きました。リーダーになるってどういうこと?リーダーになれたら何が変わるの?
犬の祖先である狼は群れを作って生活する動物です。群れの中に頼りになるリーダーがいて精神的に安定した生活を送ることができるのです。つまり犬は元来リーダーを求め、リーダーの指示に従おうとする動物なのです。
家庭で飼育されている犬は家族を群れと見なしています。野生の犬と同じように家族の中に良いリーダーがいると犬は安定した生活を送ることができます。
飼い主に忠実に従う犬として忠犬ハチ公はあまりにも有名ですが、リーダーを求め、リーダーに従おうとする犬の性質をうまく利用して人間は犬とうまくやってきたのです。
リーダーになるためにはやっぱり厳しく接した方がいいのですよね??犬より”強い”ってことを示してあげればいいんですか?
リーダーになるためには厳しさも必要ですが、それ以上に大切なのはたくさんの愛情です。
良いリーダーになるために“力”は全く必要ありません。無理やり体を押さえつけて仰向けにしたりする必要は全くないのです。あなたが、あなたのわんちゃんにとって魅力的な存在になることが一番大切なことです。
犬にとって魅力的な存在、良いリーダーとはどんな人なのでしょうか?
リーダーはいつでも優しくて、楽しくて、一緒にいて安心できる存在です。リーダーが大好きだからこそ犬はリーダーに呼ばれればすぐ駆け寄り、言うことを聞こうと思うのです。
リーダーは犬の大切なものを管理してくれます。毎日のえさや大好きなおもちゃや、散歩の時間など、犬にとって大切なものはリーダーの手中にあって、リーダーによって与えられます。
リーダーの態度は一貫していて公平です。その日の気分で叱ったり叱らなかったりするような気まぐれなリーダーを犬は尊敬することができません。
リーダーは良き指導者です。良いことをしたときには誉め、間違ったことをしたときには正しい方向へ導いてくれます。
いかがでしょうか?何か気づきませんか?そうです。犬にとって良いリーダーとは決して特別なものではなく、あなたの職場やサークルで期待されるリーダー像ともあまり変わらものなのです。あなたのリーダーが一緒にいて楽しくて、良いことをしたときにはあなたを評価し、間違ったときには指導してくれる頼りになる存在だったら、「この人について行こう」ときっと思うでしょう。それは犬でも同じなのです。”力”ではなく”リーダーとしての魅力”を備えてリーダーになってこそ犬との間に信頼関係を築くことができるのです。
私も魅力的なリーダーになりたくなってきました。どうしたらそんなリーダーになれるんでしょうか?
何をすればあなたもリーダーになれるのか具体的にお話しをしましょう。
1. 群れ (家族) の中のルールを決めましょう
2. たくさん遊びましょう
3. 「おすわり」や「ふせ」などのトレーニングをしましょう
「おや?」と思った方もおられるでしょう。悪いことをした時に叱ったり、厳しく接する必要はないのでしょうか?それはリーダーになるために必ずしも必要なことではありません。
「させても高墲ネいこと」「させたくないこと」を家族で決め、それを徹底しましょう。「食事中に食べ物をやらない」と決めたら家族全員が徹底します。「お誕生日だから」「今日は一日おりこうさんだったから」なんていう理由でついついその掟を破ってしまう方がいらっしゃいますが、犬にはそんな理由は理解できません。気まぐれなリーダーを持つことは犬には不幸なことなのです。
ある家庭で決められたルールは、他の家庭のものとは違うかもしれませんがそれは問題ではありません。大事なのはルールの中身ではなく、ルールの徹底を家族全員で実行できるか、ということです。
犬のしつけには厳しさも必要、と前に述べましたがその厳しさは犬に対して向けるものではないことがおわかりいただけたのではないでしょうか?必要なのは、どんなときにもルールに従がわせる、という飼い主さんの断固とした意思であり、飼い主さんがご自分自身へ向ける厳しさなのです。
犬と遊ぶことがリーダーになるために本当に必要なのでしょうか?犬と一緒に遊んでしまったら、犬から見下されてしまうような気がしてしまいます。
”魅力的なリーダー像”のところでお話したことを思い出してください。リーダーは犬にとって楽しくて大好きな存在でなければならないのです。楽しく遊んで大好きになってもらってください。
もうひとつ「遊び」には重要な意味があります。人間も子供のうちは「遊ぶことが勉強」と言われ、たくさん遊んで育ちます。それと同じように犬も遊びながら人間との関係や人間と接する上でのルールを学びます。遊びは絶好のしつけの場でもあるのです。
但し、遊ぶときにふたつのルールがあります。これさえ心がければ後は楽しむだけです!
遊びの始まりと終わりはリーダーによって決められます。「さあ始めましょう」とリーダーがおもちゃを取り出して犬に与えるところから遊びは始まり、犬が飽きて「もうやめるよ」という態度を示す前にリーダーの判断で切り上げます。遊びをリーダーがコントロールすることで、楽しい時間を得るためにはリーダーに従わなくてはいけないということを犬が学習するよい機会になります。
遊びの勝者とはどういうことでしょうか?ひっぱりっこであればロープを取った方が勝ちです。ボール投げであればボールを握っている方が勝ちです。勝ったり、負けたりしながら遊んで高「ませんが、終えるときにはリーダーが勝者の状態になるようにします。大好きなおもちゃがリーダーの手中にあるという印象で遊びを終えることにより、誰がリーダーなのかを学習させる効果をもたらします。
リーダーになるのに、おすわりやふせが本当に必要なのでしょうか?おすわりやふせは“芸”みたいなものではないのですか?
本当に必要なのは「おすわり」や「ふせ」ができることではなく、「おすわり」や「ふせ」を通じ犬がリーダーの指示に従う習慣を身に付けること、そして飼い主が犬をコントロールできるようになることです。
あなたの犬が脱走して大きな車がビュンビュン走る通りに向かって走リ出してしまいました。あなたはリーダーとして自分の犬を止めることができますか?
「止まれ」あるいは「おいで」と号令しあなたが犬をコントロールすることができれば、そして犬がどんな状況でもリーダーであるあなたの声に耳を傾けることができればあなたの犬を危険から守ることさえできるのです。