3つの箱と4つの法則(3)

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

3つの箱と4つの法則(3):それが問題だ!(第120号, 2009/9/30)

ピンクのコブタか、黄色いアヒルか、それが問題だ!

まもなく私は、「真ん中の箱の入れ替え」に夢中になりました。吠える、噛む、飛びつく・・困っていた行動はイイ行動に取って代わり、犬が変わり、そして私が変わりました。

「よしっ何でもござれだ!」

あの頃の私は、幼い命に、人間と生きていくために必要なことをひとつひとつ授け、大切に大切に育んでいる、何かこれまでにない実感と自信のようなものを感じていました。

そんなある日のこと。「ムムム....これは!?」。見てしまったのです。裾がすっかり下りてしまったカーテンと、そこにぶらさがるようにして“格闘”している犬の姿! 私はすぐさま『3つの箱』を作り、そして真ん中の箱を入れ替えます。しかし、何かしっくりこないのです。

カーテン >> ひっぱる >> 楽しい♪
カーテン >> すわる >> 楽しい♪

カーテンをひっぱることで得られるのと同じ「楽しさ」がすわったときにも得られれば、カーテンを前にすわることを犬は学習するでしょう。でも・・「ひっぱることを楽しんでいるのに、すわらせたんじゃその楽しさは得られない。あの子の“ひっぱって遊びたい気持ち”はどこに行っちゃうの?」。

そのとき私の中で、かつて聴いた心理学の講義の一説がよみがえったのです。

「たとえば、この教室で“イチャイチャする”という行動は“問題”でしょ? でもそれが家でだったら? 相手が恋人だったら? つまりこの場合、行動そのものが問題なのではなく、いつ、どこで、何に対して起こるのかが問題なのです。」

「あのときはどの箱を入れ替えたんだっけな・・」。それが答えでした。左の箱を「カーテン」から「おもちゃ」に入れ替え、真ん中の箱はそのまま。犬のひっぱる対象が、カーテンではなくおもちゃだったら、「ひっぱりっこで遊ぶのが上手な犬♪」になるのです。

それに気づいて早速出かけたペットショップ、カラフルな犬のおもちゃが並ぶ棚の前で初めて私はこう思ったっけ・・「今日からは、私の好みじゃなくて、あの子の好みでおもちゃを選ぼう」。さて、コブタにするか、はたまたアヒルか・・それが問題だ!

私が手にしたのは、腕のところがひっぱりっこ用のロープになっているコブタのぬいぐるみ。「あの子がカーテンをイタズラしそうになってるそのときに、このおもちゃの封を切ろう。そして、カーテンよりこっちの方がずーっとずーっと楽しいぞ~と誘ってあげよう!」。(おわり)