[犬愛しつけ法]恐怖症克服術1

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

運動会の悲劇(2):いつもどおりプラス!(第101号, 2008/10/11)

私は運動会の1日を「いつもどおり」に過ごそうと思っていました。たとえば日帰り旅行にでかける。たとえばお客さんが来る。そんな犬にとっても楽しいことが起こる朝なら、私の様子がいつもと違っても、それはその後やってくる楽しいことと結びつき、楽しいことの前触れとして学習されていくことでしょう。 しかしその朝は違うのです。いつもよりたくさんの人が行き交い、早い時間から拡声器がおしゃべりを始める運動会の朝。すでに私のそばをくっついて離れないカレに、私がここでいつもと違う様子を見せたら、カレはますます不安になるに違いありません。 レバーにささみにクッキー・・私はいつもよりスペシャル度をプラスしたごほうびを持って、日中いつも過ごす部屋にいつもより少し早く“出勤”しました。朝一番にするのはいつもどおり「ウチあそび」。ボール投げに、わなげ、紙風船。それに今日はサッカーをプラス! 私は考えていました。あわよくば夢中で遊んでいるうちに、小学校から聞こえてくる人々の歓声に、拡声器から流れてくる音楽に、願わくばスターターピストルのあの乾いた「パン」という音にさえ慣れ、それらをBGMにいつもどおりの1日を過ごしてくれないかと・・。 しかし甘かった! 遊び疲れ集中力がきれてくるにつれ、カレは外の音を気にするようになったのです。運動会はまだまだ続き、カレが恐れおののくピストルの音は断続的に聞こえてくる。「あぁどうしよう。ここで手を打たなければ、再び子供たちの声におびえる日々に逆戻りしてしまう」。私はいてもたってもいられずフラフラと立ち上がり・・ 「エイッ!」気づいたらラジオのボリュームをひねっていたのです。お気に入りの音楽をド迫力で聴くときにしか使わない、外に漏れないギリギリの音量「ボリューム18」。「ピストルの音なんて、ラジオの音で消えちゃえばいい!」。 するとどうでしょう。沈痛な面持ちだったカレが、部屋の隅に転がっていた遊びかけのボールをくわえてきたではありませんか!ボール投げを再開した私たちの後ろには、いつも流れているFMステーションの、いつものDJの声。ただし音量がプラス! それはゴキゲンな犬とふたり、ジュークボックスの中で缶詰になったかのような1日。しかしその中で、私は思いがけない発見をしたのです。(つづく)