[犬愛しつけ法]恐怖症克服術1

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

運動会の悲劇(1):たった1日(第100号, 2008/10/1)

雷しかり。花火しかり。その日1日、たった1日をしのげれば・・そう思うことがある。 我が家の近くには小学校があって、子供たちの元気な声とともに朝が始まります。校庭が子供たちの姿であふれる休み時間に合わせて小学校の周りを散歩したり、犬の好きなお子さんと挨拶を交わしたり、私は犬が子供たちとも仲良くやっていけるようにいつでも心を配りながら、この町での暮らしを犬と楽しんできました。 しかし、そんな日々が「たった1日」でひっくり返ったのです。それは小学校の運動会。その日を境に、カレは子供たちの元気な声や学校から聞こえてくる拡声器の音をひどく怖がるようになったのです。 私には、カレに何が起きたのか痛いほどよくわかりました。運動会の会場から流れてくる軽快な音楽や人々の歓声。その中に混じってときどき聞こえてくるスターターピストルの「パン」という乾いた音・・。「私は走ったり踊ったりするのが好きだったから、運動会お決まりのあの音楽やにぎやかな歓声を聞くと今でも心が躍るよ。それなのに・・」。カレにとってそれらはみな、恐ろしいピストルの音と結びつけられた「怖い音」。私はカレに、私とは逆の“運動会を巡る悲しい結びつき”が起きたことに胸が痛みました。 たしかに運動会が終れば、子供たちの声がピストルの音と一緒に聞こえてくることはなくなります。すると少しづつ少しづつ・・怖がらなくなっていくのです。しかし、1年をかけやっと回復したかと思った頃にまた「運動会」がやってくる。ここでまたあの音を聞けば、朝に夕に子供たちの声を耳にするたび、またあの恐ろしい「パン」の音がするのではないかと、しっぽを下げ居場所を探してオロオロと歩き回る悲しい日々に逆戻りしてしまう・・。 「あぁ神様。今年の運動会、あの子が怖い思いをしないですみますように」。 それが本物のピストルではないことを、ましてや私たちを狙った音ではないことを、その音は夕方にはやみ、明日からはもうしないことを、それをカレに説明してあげられたなら。しかしそれがかなわない以上、私はこう心に決めたのです。「これ以上、繰り返すわけにはいかない」。たった1日でいいんだ。運動会のその日1日を上手くしのごう・・。(つづく)