[犬愛しつけ法]しつけがうまくいく発想転換術2

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

サカサマ(2):すれ違い(第98号, 2008/9/11)

お気に入りの窓。今日もそこから外を眺める穏やかな1日・・なのかと思いきや! 「ワワワワワワワワワワワワン!!」 「ど、どうしたの?」突然とどろき渡る犬の声。ビックリして振り返ると、ウチの犬が窓にへばりついてる!「なにかいるの?」と覗いてみると、窓の外には散歩中の犬の姿。一度火がついたらもう止まらない!その姿が視界から消えるまでカレは吠え続ける・・。 「キミの声は体に似合わず大きいなぁ。ビックリしちゃうよ」。私の困惑などおかまいなし。カレは犬の姿が見えなくなった後、必ず私を振り返り、しっぽをブンブン振りながら、ドングリ眼を一層大きく見開いてこう報告してくれるのです。「フミちゃん、犬がいたの!」。「そう・・」あまりに屈託のないその顔に思わず私がうなずくと、カレは再び向き直り「もっと探さなくちゃ!」とますます前のめりで窓にかぶりつく。 私たち、すれ違ってるよねぇ。キミはもっと犬を見つけて叫びたい。そんなキミに私は困ってる・・あれ?ひょっとしてそれは私が「逆」だから? 私のしていることといったら、吠えている犬を見る、近づく、なだめる。吠えていないときには知らん顔なのに、吠えた途端に注目してる!「私はこの子にサカサマのことを学習させてるんじゃないのかな。吠えた後ではなく、吠えていないときにたくさんの注目・・はて、どうしたらいいんだろう」。 その鍵は、吠える「前ぶれ」にありました。鼻をヒクヒクさせる、1点をじっと見つめる、立ち上がる・・窓の外に犬の気配を感じてから大きな声で「ワン!」と吠えるまでの間には、きまってそんな様子が見られるのです。「“前ぶれ”をとらえて、吠え出すまでの間に『吠えないなんてえらいぞ』とたくさん話しかけてあげることにしよう」。 その前ぶれを見逃さないようにすることが、最初はとてもとても難しかったけど。しかし、私にそれができるようになった頃、あの子も変わり始めたのです。大きな声で突然吠えるのではなく、のどを鳴らしたり、クンクン鳴いたり、小さく吠えたり。 「犬がいるのに大きな声で吠え続けないなんて!スゴイぞ!エライぞ!」。小さく短く吠えることが多くなると、ほめてあげられることが多くなる。ほめられることが多くなるから、小さく短く吠えることがどんどん上手になる・・そんなプラスの循環で私たちの生活も随分変わったなぁ。・・え?アレはどうだって?犬が通りすぎた後、「フミちゃん、犬がいたの!」そう言っているかのように私を見上げるまんまるな目。澄んだ瞳の輝き。それは今も昔のまま、ちっとも変わらないよ。(つづく)