[犬愛しつけ法]しつけに役立つおもちゃ1

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

ペットボトル七変化(1):あの頃私は青かった・・ (第94号, 2008/7/1)

手のつけられないその状態に、私は凍りついてしまいました。

それはペットボトルではじめて遊んだときのこと。作ったのは、ペットボトルに古い靴下を履かせたおもちゃ。子犬の鋭い歯がささって怪我をすることがないように、キャップを取り外した大きめのペットボトルに靴下を履かせてみたのです。しかし、それを犬に渡した途端・・

「ガウガウゴウゴウ・・」見たこともない形相に聞いたこともない野太い声。「ウモナしょ?」。無垢な子犬のウチの子が!ぬいぐるみのようにかわいいウチの子が!!ペットボトルへ果敢に挑み続けるその勇ましい興奮ぶりに、犬に潜む「獣」を見たようで、私は声をかけることも手出しすることもできませんでした。それはさしずめ、見てはいけないものを見てしまったときのような・・。私はそれをさっさと片付け「なかったこと」として封印したのでした。

あれにはかなりショックを受けたんだよなぁ・・あの頃私は青かった!

私の立ち直りは思いのほか早く、1年もすると再びあのおもちゃを手にしていました。「どんな一面でもドーンと受け止めてあげる!」そんな自信が私に宿ったのは、おすわりが上手になり、まてが上手になり、どんなことも工夫次第で楽しく学習していけるんだと知ったから。

ペットボトルを犬の前に置いて「まて~♪」。「OK♪」でガウガウタイムの始まり。ヒートアップし過ぎる前に、ペットボトルをそっと押さえて「まて~♪」。しっぽをブンブン振りながら私の「OK」のひとことをスゴイ集中力で待ち続け、その声を聞くや爆発する若い元気なエネルギー!私たちはそんなメリハリの利いた「静と動」の瞬間を楽しむように遊び続けました。

「興奮しているときに体を制止させるなんて、すごく難しいことのはずなのにな。興奮し過ぎて困るくらい好きなペットボトルをごほうびにするからこそ、こんな難しいことだってできるようになっちゃうんだ・・」。

興奮は「封じ込める」のではなく「上手につき合う」。「興奮しない犬」にするのではなく「興奮してても私の声に耳を傾けることができる犬」を目指す・・そんなことを1本のペットボトルに教えられた興奮しやすかった子犬時代。そして時間とともに犬の人生が次のステージに移り変わっても、ペットボトルはその形を変えながら、いつでも私たちのすぐ側にあったのです。(つづく)