[犬愛しつけ法]ノーを言わないしつけ方3

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

いつも心にクリッカーを(3):信じる気持ち (第90号, 2008/5/21)

私にはとても信じられませんでした。ワルイ行動もほめてかまわないなんて。「そんなことして、それを学習してしまったらどうするの?」。取り返しのつかないことになりそうで、そんな恐ろしいコトとてもできませんでした。

「ほめるところまるでゼロ」のとき、私には必ずすることがあります。それはその場で「NG」の行動をひとつかふたつ、決めること。

掃除機にたまったゴミを必死にかき出している私の傍らで、うちの犬がブラシを噛み、ゴミ袋に頭を突っ込み、くわえて走ってる!・・あのとき私が「NG」と決めたのはたった2つ。「ゴミ袋に頭を突っ込むこと」と「ゴミ袋をくわえてどこかへ行っちゃうこと」。

それ以外はぜ~んぶほめてあげる!ブラシを噛んだら「ゴミ袋の方に行かなかったなんてすごい!」。ゴミ袋をくわえそうになったらゴミ袋をそっと抑え、やめるのを待って「えらい!」。私がするのは「ほめる」だけ。心のクリッカーを鳴らすだけ。

すると犬の行動が変わります。ほめた行動は増え、ほめられない行動は減っていく。そしたら「NG」を追加!「“ブラシを噛む”も追加しよう。それ以外の行動はぜ~んぶほめてあげる!」。これを繰り返すと、残るのはイイ行動だけ。

「それをほめて大丈夫?ますますひどくなっちゃったらどうしよう・・」。やめて欲しい行動を一時的にせよほめることには、今でも臆病になることがあるけれど。でも私は、そんなとき自分に聞いてみる。「クリッカーを鳴らしたくてウズウズしているときの私だったらどうする?」と。

どんな課題を教え遊んだときだって、最初の一歩はそうだったじゃない!目的の行動にはほど遠い小さな小さな「ほめる種」をどんどん見つけてほめること。クリッカーを握るたびに実感してきたじゃない!叱ることに失敗は許されなくても、ほめることなら犬を傷つけない。軌道修正ができるんだってこと。

いつもクリッカーを握るその左手を胸にあて、静かに目を閉じる。今日もクリッカーはここにある・・胸の奥が熱くなる。ほめるだけでうまくいくと信じる気持ち。キミならできると信じる気持ち。こんなに強い気持ち、手にすることできなかったんじゃないかな。クリッカーがなかったら。あれだけたくさんのことを教え遊んできたキミとの時間がなかったら。(おわり)

※ クリッカーとは? >> FUN!FUN!クリッカー