[犬愛しつけ法]ノーを言わないしつけ方2

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

いつも心にクリッカーを(2):ふたりの私 (第89号, 2008/5/11)

「もしここにクリッカーがあったなら・・」。左手に掃除機、右手にブラシ。私を困らせてばかりのあの子を目の前に、私は初めてそうつぶやいた遠い日のことを思い出していました。

それはよく晴れた午後。私は旦那さんが買い物を終えて店から出てくるのを、店の前のベンチで犬と待っていました。待っている間も私は決して休めません。何が落ちているかわからないベンチの周り。私は犬に注意を向け続け、少しでも下を向こうものならやめさせようとばかりしていました。

「ウロウロしちゃダメ。匂い嗅いじゃダメ。拾って食べちゃダメ」。

しかしカレは、小言ばかりの私を避けるかのように、ますます自分の世界に入っていくのです。「もう、どうでもいいや・・」。苛立ち半分、失望半分。諦めた私がふと視線を落とすと、カバンの中にクリッカーが入っているではありませんか!

私に近づいたらカチン。顔をあげたらカチン。すわったらカチン。使えるようになったばかりのクリッカーを何の気なしに鳴らしてみる。ただ、いつものように。すると変わり始めたのです。足元にちょこんとすわり私を見上げる。実に楽しそうに。

「やっぱりクリッカーってすごい!」・・・・のか?!本当にそうなのか。

確かにあのとき“クリッカーを持った私”がしたことは、“持っていない私”にはできなかったことでした。しかし、たとえクリッカーがなくてもイイ行動をほめようとする気持ちさえあれば、同じ結果が待っていたに違いないのです。

「クリッカーを使ったかどうかじゃない。問題は私のあり方だ!」。あの子を変えたのは“クリッカーを持った私”ではなく“イイ行動をほめた私”。“ワルイ行動を叱った私”ではなく“イイ行動をほめた私”。「いつの間にか私は、クリッカーを持つと犬のイイトコロを探すようになっていたんだな・・そうだ!いつでもクリッカーを持っているつもりになろう。そしたらきっとほめる気持ちを忘れない」。

その日から「ワルイ行動を叱る私」がひょっこり顔を覗かせるたびに、私は自分にこう問いかけるようになったのです。「もしここにクリッカーがあったらいつ鳴らす?クリッカーを押したくなった瞬間にほめようよ!上手くいく。きっと、いや必ず!」。(つづく)

※ クリッカーとは? >> FUN!FUN!クリッカー