犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
知ってるよ!キミは張り切ってると、うしろ足がガニマタになるんだ。
うちの犬と出掛けるにはちょっとしたコツがいる。まず一番に犬の好きな場所に行くこと。その場所で存分に匂いをかぎ、歩き、走り・・外気にふれた喜びであふれんばかりにあがりきったその高いテンションを少し下げておいてもらうこと。
それをしておかないと大変なことになる!ホームセンターの「犬用カート」の中でボルテージが最高潮に達したキミは、『タイタニック』の船首で両手を広げたレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットよろしく私の押すカートの先端で仁王立ちし、私を慌てさせたり。人通りの多い場所へいきなり出掛けようものなら「こっちの匂いをかがなくちゃ!」「あっちの匂いもチェックしなくちゃ!」とひとり忙しく右へ左へとウロウロャ純ワし、「ほかの人の邪魔になってると思うの・・」と私をハラハラさせたり。
でも気づいたんだ。そんなキミも助ェに外の刺激にふれ落ち着いてきた頃なら、カートの中ですわっていることも、歩調を合わせて歩くこともできるんだってこと。
だから今日も、キミをどこよりも先にいつもの公園に連れていくよ。空に向かって伸びる“絶好調”なしっぽの角度。「イチニ、イチニ・・」と軽やかにゆれるしっぽのリズム。その角度が水平に、そしてリズムも単調になって、「満足したのかな」と思い始めたころ、知ってるよ!キミのその「ガニマタ具合」も変わってくるってこと。興奮のあまりバタバタ歩くもんだから、後ろからみると「ハ」の字に広がってるキミの短めなうしろ足。それが「||」の形に戻ってくるんだ・・それが「ころあい」。
春が来たね。今年もあの街はずれの桜のアーチを一緒にくぐろうよ。いつかは駆け抜けたあの道を、今年はゆっくりゆっくりキミと歩調を合わせて歩きたい。キミと迎えた10回目の春、その幸せをかみしめたいんだ・・。「まずはいつもの公園へ。そのうしろ足のガニマタ具合が収まってきたころ、桜並木へと続くあの坂道へあの子をいざなってみるとしよう」。
キミと歩くにはコツがいる。キミと生きていくにはコツがいる。(つづく)