犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
「うわぁ、子犬ってこんなにかわいらしく鳴くものなんだ!」
我が家に子犬がやってきた夜、テーブルで食事をしていた私から一番離れた場所に置かれたサークルの中で、あの子はヨチヨチと立ち上がり「クーンクーン」と鳴いてたっけ。
サークルをもっと近くに置いてあげればよかったのに。もっと甘えさせてあげてから、食事にすればよかったのに。
鳴いている犬を見て「なんてかわいいの!」としか思えなかったあのときの私に、そんなこと思いつくはずもなかった。
それからどのくらいの月日が流れたのか・・。私もちょっぴり成長して、テーブルの横にハウスを置き、ときどきごほうびを入れてあげることにしたよ。食事の時間をうまく使って、少しずつ長い時間ハウスにいられるようになるといいなと思って。
ハウスの中でパタパタとしっぽが揺れるのを見たとき、「よかったね」と私までうれしくなっちゃった!「もっと時間延ばせるかな」と欲張ったばっかりに犬を鳴かせてしまったとき、私が思ったのはもう「かわいいなぁ」じゃない。「ごめんね」。
一緒に笑ったり胸を痛めたり、私は犬と気持ちをシンクロさせながら、犬にもたしかに喜怒哀楽があることを知り、その気持ちを知りたいと願い、しぐさや表情や犬を取り巻く状況や・・少ない手がかりと心理学を頼りに、がむしゃらにそれを探してきたのだと思う。
「今日はどうしてハウスしないの?どこか痛い?おすわりはできる?ふせは?クルクルって回ってごらん・・痛いところがあるわけじゃなさそうだね。具合でも悪いのかなぁ・・でもごほうびは喜んでるから食欲がないわけじゃないみたいだし。ひょっとして寒い?あったかい毛布入れたよ。これでどう?・・そうか“ハウス、寒いんだもん”って言ってたんだね!」。
言葉が通じなくてもわかることがある。言葉を使わないからこそわかることがある。我が家の食卓に流れていたのは、私たちが家族になってゆく時間だった・・。(つづく)