[犬愛しつけ法]トイレのしつけ方2

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

誰がために(2):トイレトレーニング(第65号, 2007/9/11)

「なんだ!そういうことなら、誰か早いトコ私にそう教えてよ」。すべてがわかったとき、私は笑い出しそうでした。

犬はうれしいことが起きた直前の行動を学習します。すわったときにほめることで「おすわり」を、ボールを取ってきたときにごほうびをあげることで「取ってきて!」を学習するように、トイレで排泄した後でうれしいことが起こることで、犬はトイレで排泄することを学習します。

ほめているのに一向にトイレで排泄するようにならなかったのは、「ほめているつもり」になっていただけで、「これをあげたら喜ぶかな?」と考えることが足りなかったから。

「ごほうびあげようにも、失敗ばっかりであげられない!」と行き詰っていたのは、トイレに連れて行ったり、排泄するまで待っててあげたり、ほめるチャンスを作る工夫が足りなかったから。

「“おすわり”と同じか!」。しっぽをフリフリ大喜びするごほうびをあげるようになってから、“おすわり”軌道に乗り始めたでしょ?すわってくれないときには、すわるように誘導したり、すわるまで待ってごほうびあげたでしょ?

変わり始めた私に犬が応えてくれました。「ほめて!」とトイレから飛び出すようにして駆けてくるその姿で。「このごほうび、そんなに好き?」こっちまでうれしくなっちゃうような満面の笑みで。

「私もこうやって、上手にほめることができるようになっていくんだな。少しずつ変わっていければいい。この子と一緒に」。

私は犬を育てながら、犬に育てられてきた・・。私が手に入れたのは“しつけのテクニック”なんかじゃない。それは、うまくいかなくて何かを投げ出したくなってしまったとき、自分に何ができるのかを教えてくれる大切な道しるべでした。(つづく)


※補足説明(興味のある方のみお読みください)
排泄は「トイレまで歩く+しゃがんだり足をあげる」オペラント行動と、「排泄姿勢を条件刺激とするレスポンデント反応としての排尿」という2つの要素で説明できます。オペラント条件付けだけで説明ができる「おすわり」とはこの点において厳密には同じと言えませんが、「トイレで排泄したらごほうび」というオペラント行動を強化する手続きが繰り返されることによって、結果的に排泄姿勢を条件刺激とするレスポンデント条件付けが成立することから、実際には「排泄後にごほうび」を意識すればうまくいくことになります。このような理由から「“おすわり”と同じ」と表現しました。