[犬愛しつけ法]トイレのしつけ方1

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

誰がために(1):幼き日々(第64号, 2007/9/1)

うちの犬は1歳を過ぎても尚、トイレを失敗してばかりでした。

床に広がる黄色い水たまり。「現行犯なら叱る」「失敗した場所に鼻を押しつける」・・巷にあふれる情報を鵜呑みにするたび味わう強い後悔と自己嫌悪。私を大学院に行って勉強する気にさせたのは、何をするにも一筋縄ではいかないうちの子でした。

トイレトレーニングに費やしたあの時間は、あのトイレの“しつけ”は、一体誰のためのものだったのか。

それは紛れもなく「私のため」でした。だってこれ以上、部屋を汚されたくなかったんだもの。トイレがちゃんとできる「おりこうさん」な犬になって欲しかったんだもの。

あれから8年。この夏私たち一家は、両親の家へ泊まりに行きました。東京から車を走らせること260キロ。途中に立ち寄るサービスエリアで「おしっこは?」。おしっこしてもかまわない場所や、にわかに敷いたトイレシートを指差してそう言います。車中で水をいっぱい飲んで、あるいは渋滞して、途中でおしっこしたくなってあの子が困らないように。

両親の家で、私は定期的に「おしっこは?」とトイレを指差します。「ボクのトイレはどこ?」いつもと違う環境に混乱したり、排泄を我慢することがないように。私に、旦那さんに、お義母さんに。偉業でも成し遂げたかのような顔で「おしっこしたよ」と報告しに来るうちの犬は、今年の夏も私たちの笑顔の元でした。

私は思う。幼い日々のあのトイレトレーニングは、犬のためにあったのだと。

外泊先での“失敗”に恥をかかなかったことじゃない。「“おしっこは?”でおしっこするなんてすごいよね」とみんなを驚かせたことじゃない。私がうれしかったのは、ただただ、キミがこの暑かった夏を、排泄のストレスを感じることなく元気に過ごせたこと。(つづく)