[犬愛しつけ法]しつけに役立つ遊び方3

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

犬と遊ぼう(3):おてつだい (第63号, 2007/7/21)

まっすぐ伸びた廊下の先。そこには仲良く並んだ2足の靴下・・。

我が家では、靴下を脱ぐと、洗面所まで続く廊下の一番先に並べます。その靴下は、洗濯カゴの前で待つ人間のところまで犬が運ぶのです。遠くの山が赤く染まる夕焼けの頃、我が家には「がんばれ!」「すごい」「助かったよ」そんな言葉が飛び交います。

うちの犬が子犬だった頃、私はカレが何でもくわえて運んでいくことに困っていました。

くわえる物が、手袋やハンカチではなくボールだったら。それはこの子の「得意な遊び」になるのに。靴下やスリッパをくわえて走る先が、私のところだったら。かわいい「お手伝い」をほめてあげられるのに。

スリッパを。古くなった靴下を。イタズラされたら困るものを片付け、その代わり、くわえてもかまわないものを床に並べる。くわえているのを見かけたら「ありがとう」とごほうびを。仕事の手を休めそうすることは私の一部となり、犬は、犬なりに一生懸命な「お手伝い」を見せてくれるようになったのです。

私の期待を見事に裏切って、まったく違う方向へ走り出したときの小さくなる足音。途中で水を飲んだら最後、「あれ?ボク何してたんだっけ?」とわからなくなるキョトンとした顔。くわえていたものを途中で落としてきたことなんか気にもせず、「ほめて!」と私の胸に飛び込んできたときのあのぬくもり。せっかく持ってきたのに、なぜだかそれをまたくわえて行っちゃったときの張り切ってる後ろ姿。

いつだって、私が大事にしてきたのは「完璧さ」ではなく「うちの犬らしさ」。犬のしたがっていることを、望ましい形でさせてあげること。「いい子」の枠に無理に収まらなくていい。私はキミらしく生きているキミと、暮らしていきたいんだ・・。

まっすぐ伸びた廊下の先には、今日も2足の靴下。

疲れて心が曇る日にも、悲しくて心に雨が振る日にも、靴下をくわえてまっすぐ駆けてくるその姿を見ると、陽だまりに包まれていくようだよ。キミにはやっぱりかなわない。キミはいつでも我が家の中心で、私たちを明るく照らし続ける太陽だ。(おわり)