犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
「ハイ、口開けて!あ~ん・・」
その衝動を、私は抑えきれませんでした・・。旦那さんの口にドックフードを入れてみたい衝動を!
「なにふざけてんの!!」。
いいえ、私は大まじめです。ほらよく見て。自分がもらうものだと思い込んでいるうちの犬は、あわてて飛びついて、口の周りをペロペロなめて・・。
「そのままっ、口モグモグして食べてるフリしてっ!」
なかば強引にそう言い、私はドックフードを旦那さんの口にあてながら、犬をだまって観察したのでした。そして飛びつくのをやめた瞬間、「ハイ、おりこうさん」とドックフードを犬にひとつ。
「うちの犬は“ひとりっこ”だから、私がドックフードを手にすれば、自分がもらうものだと思ってる。これから先、私がほかの犬に何かしてあげることがあったとき、この子は今みたいにあわてると思うんだ。その犬から奪おうと、まるで“やきもち”みたいに、吠えたり噛んだりするかもしれない・・」。
「だ・か・ら!こうやってこの子に、待ってれば必ず自分ももらえるんだって、教えておいてあげたいわけ」。あらためてお願いされ、「ハイ、ごほうび」と私からドックフードを口にあてられた旦那は口をモグモグ。犬がすわるのを待って「よく待てたね」と今度は犬にごほうび。最初はあんなにあせって飛びついてたのに、犬はじきに“ごほうびをもらう”旦那さんを余裕しゃくしゃくで見つめながら、「次はボクだよね」とご機嫌に待つようになり、私も大満足だったのでした。
・・なにバカなことやってるのか、だって?たしかにね。でも、楽しく取り組んだことは、いつか必ず生きてくるものなの。それにその瞬間は、意外と早くやってきたんだから。(つづく)