パブロフの犬(2)

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

パブロフの犬(2):ベルを鳴らそう(第47号, 2007/2/11)

「ワヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮァン!」

3年前の今ごろ、私は困り果てていました。それは、今の家に引越して間もなかった頃。誰かが部屋に入ってくるたびに、それはそれはものすごい勢いで吠えながら向かっていくのです。

どんなにみんなをビックリさせて迷惑をかけても、「だ・・大丈夫?」と心配してくれたり、「息つぎしたら?」とお腹をかかえて笑い出す人こそあれ、まゆをひそめる人は誰ひとりいなくて、それだけは本当に感謝したい気持ちでいっぱいだったけれど、しかし私は決してほっておけなかった。

だって、心穏やかな日々を過ごしているなら、そんな風に吠える必要ないはず。自分の犬の発している「SOS」に正面から向き合わずして、他人様の犬の手助けなんぞできるものか!という気持ちでいっぱいになったのです。

私は耳をすましてみました。私と犬のいる部屋の扉が開くまでに、「バタン」「バタン」扉を開け閉めする音が2回、その後足音がほんの数回します。「もうすぐ誰か来る」私にはそれがわかるのです。引越したばかりでも、家の間取りがわかるから。

犬の様子を見てみます。遠くで扉を開け閉めする音がして、私には「誰か来るな」と察知できたのに、犬はまったく気づいていない様子。「そうか。この子には何の気配もなしに突然扉が開いて人が現れるように感じられてるんだ。だからビックリしてこんなに吠えちゃうんだ!」

そこで私は、ドアの開け閉めがはっきりわかるように各ドアノブにベルをかけ、しばらくの間、意図的にたくさんベルを鳴らしながらドアを通過してもらうようにお願いしました。「チリンチリン」ベルが鳴ったら誰か来る、ベルが鳴ったら誰か来る・・。犬はベルの音に反応するようになるはず。パブロフの犬が、ベルの音に反応するようになったように。

大成功!何日も繰り返すうちに、ベルの音がすると扉の方を向き、耳をそばだて鼻をクンクンさせるようになりました。吠えずに人を迎えたらごほうびももらえます。もう吠えなくても大丈夫。本当によかった。パブロフ博士がすごい発見をしてくれて!ビックリしっぱなしで困ってたあの子を救ってあげられて。(つづく)