犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
「ふ~ん・・」。
困ったことがあったとき、私が開いてみるのは心理学の教科書。しかし、そこに書いてあることをすぐに飲み込めるかといえば、決してそんなことはありません。「ふ~ん。だから?」。困ったことに、たいていのことはそれで終わってしまうのです。
理解されることもなく、頭の中でただ存在しているだけの知識たち。それが私の中でキラリと輝く不思議な瞬間に出会うことがあります。何気なく見せる犬のしぐさが、日々の変化が、突然静止画のようにクッキリと浮かび上がって、「ボクをよく見て、教科書に書いてあるのはこういうことだよ」、確かに犬からそう教えられるのです。そしてウットリする私。「これって、こんなにも誰かをハッピーにできるステキなものだったなんて!」。
「反応を誘発する刺激が繰り返し呈示されれば、その反応の強度が減少する」。(「メイザーの学習と行動」より)
「ふ~ん・・」。「馴化」と銘打ったページに書かれたこの一文に、例によって私はこれ以上の感想を持ち得ませんでした。「一体これが、どう役立つっていうの?」。しかし、やってきたのです。記憶されていることすら忘れ去られ、私の頭の片隅でひっそりとなりを静めていたその知識が、私の中でキラリと輝く瞬間が!
それは、ある夏の出来事でした。(つづく)
引用文献:メイザー, J.E. (磯 博行・坂上貴之・川合伸幸 [訳])(1999)メイザーの学習と行動 ニ瓶社