[犬愛しつけ法]クリッカーで簡単しつけ2

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

褒めるって難しい(2):どうでもいいこと?(第23号, 2006/6/10)

頬にチュッとキスすること、バックすること、「バーン」と言われたらゴロンと転がること。私には、そんな“どうでもいいこと”を教えることに、夢中になっていた時期があります。自分に課したルールはただひとつ。「そう、それでいいよ」、褒めるだけで教えること。そして私は今、自信を持って言えます。「あの日々がなかったら、今の私はない」と。

褒めるタイミングが間違っているとき、犬は必ず褒めているつもりのない行動を繰り返すようになってくれて、私はそのたびに「タイミングが間違ってるよ」と教えられます。それは私の「褒めるべき瞬間をとらえる」練習でした。

「早くできるようになって欲しい」と、ひとり先を急ぎすぎているとき、犬は必ずどこかでつまづいてくれて、私はそのたびに「まだ足りないところがあるよ」と教えられます。それは私の「順序立てて考える」練習でした。

「思ったとおりにいかない!」と、無理なことをしてしまったとき、犬は必ず未熟な私につまらなそうな顔をして見せて「こんなんじゃ楽しくないよ」と教えてくれます。「なんとかして、褒めてあげられるようにリードしてあげなくちゃ」。それは私の「褒めるチャンスを作る」練習でした。

つまづくたびに立ち止まり、振り返り、考え、試行錯誤し、そして乗り越えるたびに私は確信を得ます。「褒めるだけで、犬はちゃんと変わっていくんだ。私はいつまでも、この子とこうやってつき合っていくんだ」と。

「こうすればいいんだよね!」。練習してきたことを、犬が生き生きと、のびのびと、楽しそうに、自信満々にやってくれるようになる・・そんなゴールに辿り着くたび私は強くなります。「どんなことだって、楽しく乗り越えてみせる。乗り越えた問題の数だけ、この子に笑顔があふれるように」と。

それは私にとって、決して“どうでもいいこと”なんかではありませんでした。「何で噛むの?」と困ったとき、飛びついて仕方ない犬に首をかしげたくなったとき、吠えてる犬がほとほと嫌になっちゃったとき、「褒めることで乗り越える方法が必ずあるはず」と信じて進む力を私に与えてくれるのは、夢中で取り組んだあの日々なのです。 (つづく)